■３番人気・１着■　先週マークされた２歳コースレコードを更新する３馬身差の快勝で初陣を飾った。キタサンブラック産駒ながら短距離戦で３勝を挙げた母から芝1200ｍ戦でデビュー。好スタートからハイラップを手応え十分に３番手を追走し、４コーナーでは内から前を行く２頭の間に割って入り、直線では逃げる１番人気の２着馬を楽に競り落として快勝。２Ｆ目から10.4-10.9秒と速く縦長の展開も終始スムーズな走りでレコードタイムを更新した。先行した２頭が２・３着に残るスピード勝負となったが、上り３Ｆで２・３着馬に１秒近い差を付けているのは優秀だ。まだ成長途上の印象で中間も強い負荷を掛けていない中での快勝はポテンシャルの高さを感じさせている。早熟であった母に成長力のある父との配合で今後の成長度合いは未知数であるが、走りっぷりから距離への融通性はありそうだ。馬体の成長とともに負荷を掛けた調整が可能となればまだまだ上を目指せる１頭となる。成長力や距離の対応力を含めて注目していきたい馬である。

■１番人気・１着■　東京芝1800ｍのメイクデビューに良血馬が揃ったが、圧倒的１番人気に応える完勝で初陣を飾った。今年のダービー馬クロワデュノールの弟などクラシックを意識する良血馬が、東京中距離のメイクデビューに登場し注目の一戦となっていた。中距離新馬戦にしては前半から速い流れでレースが進み、実力差が現れやすいハイレベル戦となる。好スタートから鞍上のルメール騎手は５番手まで下げて内々で脚を溜め、速いペースでも十分な追走力でスムーズに先団を見ながら徐々に外目に持ち出す。直線に向き前を行く４頭の一番外に持ち出されると、鞍上の軽い促しに反応し残り300ｍで早くも先団を捕え、ラストは鞍上が抑える余裕を見せながら後続に２馬身半を付ける快勝であった。ペースが流れるなか５番手追走から上がり最速の34.0秒をマークし、大物感のある内容で高いポテンシャルを示した。母・ミスエーニョの８番仔であるが初の牡馬誕生で期待の大きい１頭である。重賞ウイナー３頭の姉に続く出世を果たせるか注目していきたい。

■１番人気・４着■　混戦模様の新馬戦で押し出される形で１番人気に支持されたが４着に敗退。しかし不利ある競馬のなかゴール前の脚は際立っており、ポテンシャルの高さは十分に感じられた。互角のスタートから中団前目を追走していたが、前を走る馬が下がり気味となり内から接近していた馬との距離がなく進路を失ったことで馬順を下げ、行き脚が鈍って最内を促しながらの追走となってしまう。４コーナー手前で最内から徐々に差を詰め直線に向くも、鞍上が何度も後ろを振り向きながら外に出すタイミングを計り、漸く残り150ｍ付近で外に出してスパートを開始。先頭とは７馬身程離れていたが、ゴール前では他馬と異なる脚色で一気に猛追している。勝ち馬とは0.4秒差で３着馬とはクビ差まで詰めており、残り100ｍで５馬身程差を縮めラスト12.0-11.8秒と勝ち馬が加速ラップでゴールしたなかで猛追した末脚は見せ場十分であった。小回り1200ｍ戦はやや忙しい印象であったが、レースを経験した事で追走がスムーズになれば、舞台を問わず次走で十分初勝利が期待できそうだ。

■５番人気・１着■　前走で覚醒を感じさせた走りに続く連勝で重賞初制覇を飾った。ローズＳで大逃げ策から３着に粘り、秋華賞では前半1000ｍを57.1秒で飛ばす破天荒な個性派というイメージであったが、古馬となって徐々に成長を見せて前走の都大路Ｓでは強い内容で圧勝し、重賞挑戦となった今回も力強い走りで押し切り重賞初制覇を果たした。外枠から行きたい馬を行かせて先行集団の外を追走する。中盤も大きくラップが落ちる事なく流れたなかでも余裕十分な追走力を発揮し、直線追い出されると前を行くタガノエルピーダを交わすのに時間を要していたが、強い向かい風のなかジワジワと脚を伸ばして先頭に立ち、後続の追い上げを封じて快勝。流れたラップと直線の強い向かい風で瞬発力勝負にならなかった点は有利に働いたが、過去走から鬼門となりそうな坂があって直線の長い東京コースでの快勝は本格化を示す一戦となったと言える。チューリップ賞２着などクラシックトライアルで好走していた実力馬が素質開花の兆しを見せ、今後の牝馬戦線を引っ張る存在となりそうだ。

■７番人気・４着■　ダービー卿ＣＴ出走後に次回狙える馬として取り上げたキープカルムが快勝したが、２冠馬チェルヴィニアなどの強敵相手に善戦した上り馬の今後に注目したい。この馬を取り上げるのは２度目である。2023年１月の新馬戦で４着した際にロスが大きいなか一気の強襲で、次走狙える馬として取り上げていた。その後は接戦を演じるも条件クラスで足踏みが続いたが、今年に入ってから条件クラスを連勝しオープンに昇格を果たしていた。今回はオープン初戦となり実績では大きく劣るメンバー構成で重賞挑戦を迎え、関西遠征は経験がなく厳しい戦いも予測されて７番人気の低評価であったが、別定戦での0.4秒差４着は今後に期待の持てる戦いであったと評価したい。逃げ馬不在で鞍上の岩田康騎手はある程度の位置を取りに行く戦法を取り、好スタートから先団を形勢するもペースが落ちて折り合いを欠く追走となってしまう。最内で我慢させながら直線に向くと、内ラチ沿いを狙ってスパートを開始。残り200ｍでは一旦先頭に立つシーンを作ったが、序盤に力んだことが影響し坂を上り切って末脚が鈍ってしまった。結果的に外を伸びた馬が上位を独占しており、内を通ったった点でも馬場バイアス的にマッチしなかった印象である。しかし重賞でも十分通用するパフォーマンスを発揮し、関西初遠征や内で我慢させる競馬でも崩れなかったのは大きな評価を与えたい。２年半前のデビュー戦から注目していた馬の今後に期待したい。